ドローンで圧倒的なシェアを誇るメーカーDJIから、2019年5月に待望のアクションカメラ『DJI Osmo Action(オズモアクション)』が発売されました。
アクションカメラといえばGoProシリーズが不動の地位を築いていますが、今回登場したOsmo Actionは、そのGoProキラーとして多くの動画クリエイターから注目が集まっています。
今回の記事では、そのOsmo Actionがどのようなカメラなのかという特徴や魅力と、実際に使用してみての感想を解説します。
もくじ
DJI Osmo Actionとは
DJI Osmo Actionは、2019年5月17日に発売されたDJI初となるアクションカメラです。
2018年12月には、手のひらサイズのコンパクトな本体にジンバルを内蔵したOsmo Pocketを出したこともまだ記憶に新しいDJIですが、こうした新しいプロダクトをどんどん生み出してくれるメーカーは、ガジェット好きとしてはついつい応援したくなってしまいます。
非公開: 世界最小のジンバル一体型カメラDJI Osmo PocketレビューOsmo Pocketが登場した時にも「GoProとどっちを買ったら良いの?」と両者を比較する声が多く挙がっていたものの、Osmo Pocketはそもそも防水防塵対応がされておらず、アクションカメラとは全く異なる商品でした。
それに対し、今回新たに生まれたOsmo Actionはアクションカメラであり、GoProと完全に競合する商品となります。
また、スペック面・価格面でも現行のGoProシリーズ上位モデル『GoPro HERO7 Black』を意識した仕様になっており、どちらを買うべきか頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そんな方のために、実機レビューの前にまずはOsmo Actionの特徴を解説していきます。
Osmo Action基本スペック|GoProに無い機能も搭載!
Osmo Actionの基本スペックの中から、特に私が気になるポイントをまとめてみました。
- 4K/60fps 100Mbpsでの高品質動画撮影
- 本体のみで11mまでの防水・防塵に対応
- 強力な手ブレ補正機能「RockSteady(ロックステディ)」
- HDR動画撮影
- デュアルスクリーン搭載
- フルHD/240fpsで8倍スローモーション撮影
アクションカメラとしての必要な機能・性能を押さえつつ、最大120秒間の長時間露光撮影に対応するなど、「あったら良いな」を徹底的に詰め込んでいる印象ですね。
DJI公式サイトでの直販価格は44,800円(税込)と、GoPro HERO7 Blackの直販税込価格53,460円よりも1万円近く安く抑えられています。
それでいてスペック面はGoPro HERO7 Blackと全体的に合わせてきており、さらには後発の商品だけあって、Osmo ActionではGoProが対応していない機能まで備えている隙の無さがうかがえます。
その最たる例がHDR動画撮影とデュアルスクリーンの2点です!
HDR動画撮影に対応した唯一のアクションカメラ
Osmo Actionでは、HDR動画の撮影に対応しています。
HDRとはHigh Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称で、明るさの幅を従来の基準であるSDRよりも広く表現できます。
「明るさの幅を広く」とは、たとえばこれまでなら明るすぎて白飛びしていたり、暗すぎて黒つぶれしていたようなシーンでも、より細かく人の目に近い状態で映像を記録できるようになるということです。
GoPro HERO7シリーズ最上位のGoPro HERO7 BlackでもHDRでの静止画撮影には対応していますが、動画へのHDR対応はOsmo Actionならではの強みですね。
デュアルモニター搭載で撮影ミスを防げる!
Osmo ActionとGoProシリーズとの最大の違いは、やはりレンズのあるフロント側にもカラー液晶モニターを搭載したデュアルモニター構成になっている点でしょう。
GoPro HERO7 Blackにもフロント側にディスプレイはありますが、バッテリー残量や撮影モードを表示するだけのステータススクリーンとなっています。
それに対し、Osmo Actionはレンズ側に搭載されたフロントモニターでカメラが捉えている映像を確認しながら撮影ができます!
- 被写体が見切れていた
- レンズに水滴や汚れがついていた
このような撮影ミスを防ぎ、自撮りをはじめとした様々なシチュエーションでの撮影が快適に行えます。
私はカメラを手に持っての自撮りをしないため、Osmo Actionの目玉とも言えるフロントスクリーンに関しては正直そこまで魅力に感じてはいませんでしたが、実際に使ってみて印象が大きく変化しました。
詳しくは後述の使用感にて解説していますが、「自撮りをしないからOsmo Actionじゃなくても良いかな?」なんて考えは危険ですよ!
DJI Osmo Action実機レビュー
それではOsmo Actionの実機を見ていきましょう。
DJIおなじみの、白を基調とした背景に商品写真が中央に配置されたデザインのパッケージです。
開封すると、Osmo Action本体にカメラフレームが取り付けられた状態で納められています(※保護フィルムは写真撮影前に剥がしました)。
Osmo Action本体のほか、付属品は以下の通り。
- カメラフレーム
- クイックリリースベース
- 止めネジ
- 接着式カーブマウント
- 接着式フラットマウント
- バッテリー
- バッテリーケース
- USB-Cケーブル
本体を持ってみると、見た目以上にずっしりとした重みを感じます。
コンパクトな本体に部品をギュッと詰め込んでいるような、そんな印象を受けました。
レンズ部分にはレンズフィルターキャップが標準搭載されており、手でくるくると回して外して、別売りのNDフィルターやCPLフィルターと工具無しで交換が可能です。
本体前面には放熱処理用の金属フィンが露出しており、4K撮影のような高い処理性能をフルに発揮するようなシーンでも熱暴走を抑えられるよう工夫されています。
こういった構造的に必要なパーツがデザインの一部として溶け込んでいるのって良いですよね。ロマンを感じます。
カメラフレームを外してみました。
防水ケースが今後発売予定になっているOsmo Actionですが、ケース無しの状態でも11mまでの防水・防塵性能があるため、ちょっと水に潜る程度であれば問題無く使用できます。
ちなみにGoPro HERO7シリーズは最大10mまでの防水ですので、明らかにGoProを意識した設計になっているように思えます。
外骨格のようにOsmo Actionを覆って衝撃から保護してくれるカメラフレームは、取り付けることによって一般的なアクションカメラ用のアクセサリーをOsmo Actionと組み合わせられるようになります。
バッテリーがそのままOsmo Actionの底面カバーになる仕様です。
フタが別パーツですと紛失してしまう危険があるので、一体型になっているのは個人的に高ポイントです!
バッテリー容量は1,300mAhで、GoPro HERO7の1,220mAhよりも少しだけ大きく、ここでもまた「GoProよりちょっと上」となっていますね。
最大録画時間ですが、4K/60fpsでRockSteadyがONですと63分、フルHD/30fpsでRockSteadyもOFFにすれば135分の録画が可能です。
側面のカバーを開くと、USB Type-C端子とmicroSDXCカードスロットが用意されています。
Osmo ActionはUSB Type-Cで充電します。
最近はスマートフォン以外の機器でも、Micro USBでなくType-Cを採用する場合が増えてきました。
リバーシブルになっているため抜き挿しのストレスも無く、また規格が統一されることで持ち歩くケーブルを1本で済ませられるのは、ユーザーとしては非常に助かります。
側面カバーはツメで固定されているだけですので、引っ張って外すことが出来ます。
側面カバーを外した状態であれば、カメラフレームを装着したままの充電が可能になります。
その代わりに防水防塵性能は失われるため、使用する際は端子内部に水や埃が入らないよう注意しましょう。
付属のバッテリーケースは、内部にmicroSDカードを1枚収納できる地味ながら嬉しい設計になっています。
クイックリリースベースとカーブマウント・フラットマウントを組み合わせれば、たとえば車のダッシュボードやガラス面にOsmo Actionを取り付けられます。
車載動画の撮影にも挑戦してみたいですね。
高精度なタッチスクリーンによる快適な操作感
操作感はOsmo Pocketとほぼ同じですので、迷わず使うことが出来ました。
下から上にスワイプすると解像度やフレームレートといった画質設定、上から下にスワイプすると本体設定、左から右で撮影した写真・動画の確認といった具合ですね。
タッチスクリーンの感度は良好で、スマートフォンを操作しているのと遜色ありません。
Osmo Pocketに比べると画面サイズも大きいので、誤操作も無く快適そのもの。
スマートフォンと接続することで、DJI Mimoアプリを使ってスマートフォン側でプレビューを確認したり設定が変更できるのも、Osmo Pocketと同様ですね。
Osmo Actionの場合はWi-Fi・Bluetoothモジュールを内蔵しているため、無線での接続が可能です。
DJI Mimo
DJI無料posted withアプリーチ
ちなみにOsmo Actionの初使用時にもDJI Mimoアプリでアクティベートが必須になります。
箱から出してすぐに使えるわけではありませんので、ご注意ください。(私はキャンプに出掛ける当日の朝に気付いて、急いでアクティベートをしました笑)
DISPボタン(電源ボタン)と録画ボタン以外にある唯一のボタンが側面のQSボタン(クイックスイッチ)です。
HDR動画撮影やスローモーションなど、よく使う撮影モードを選択肢に登録しておくことで、使いたい時に使いたいモードを素早く立ち上げることが出来ます。
また、長押しをするとフロントモニターとバックモニターの切り替えも可能です。
画面の切り替えは、バックモニターを2本指でダブルタップしても行えますが、QSボタンの長押しの方が確実ですね。
高精度なタッチスクリーンと分かりやすいユーザーインターフェースの組み合わせで、初心者でも簡単に、そして快適に動画撮影を行えます。
撮りたい瞬間を逃さない起動の速さが嬉しい!
Osmo Actionを使っていて気付くのが圧倒的な起動の速さです。
完全なスリープ状態からでも、起動するまでにかかる時間がわずか4秒ほど。
画面スリープ状態からならば、2秒程度で録画が開始されるという超速仕様になっています。
QSボタンでの操作の呼び出しといい、スリープからの復帰の速さといい、「撮りたい一瞬を撮り逃さないように」というDJIの想いが伝わってくるようです。
GoPro用アクセサリーを使用可能
マウント部の規格は、GoProをはじめとした既存のアクションカメラと共通のため、販売されているGoPro用のアクセサリーをそのまま使用できます。
Osmo Actionを入手してすぐにキャンプに行くことになったのですが、まだアクセサリー類が何も出ていませんでした。
さすがに本体だけを手に持って撮るのは厳しいと思い、GoProを持っているけんいちさんに、GoPro用の3-wayマウントをお借りして合体させました!
GoPro棒と合体! #OsmoAction pic.twitter.com/QbLsUxch0h
— うぃる (@wright_ssvd) 2019年5月24日
アクセサリー類がまだ充実していない現状、こうして使いまわせるのはありがたいですね。
ただし、あくまでマウント部が共通なだけですので、防水ハウジングなどGoPro専用設計がされたアクセサリーは使用できませんのでご注意ください。
今後のDJIの純正アクセサリーの販売にも期待したいです!
フロントモニターが自撮りをしない場合でも便利
Osmo Action最大の特徴とも言えるデュアルスクリーンですが、私は自撮りをほとんどしません。
そのためフロント側のディスプレイを使うことはほぼ無いだろうと考えていました。
ところが、実際にOsmo Actionを使って撮影をしていた時に、このフロントスクリーンがあって本当に良かったと感謝する場面があったのです。
それは、キャンプでのテント設営の様子を三脚に立てて撮影しようとした時でした。
ちょうどこの写真のように、カメラのすぐ後ろに障害物があり、後ろから覗き込むことが出来ずにバックモニターでの確認が不可能な場所だったのです。
しかし、フロントモニターがあったおかげで、カメラの正面から構図を確認しながら撮影することが出来ました。
スマートフォンと接続しても良いのですが、「それ単体で完結できること」は、どんなガジェットを扱ううえでも重要なポイントだと考えています。
複数の機器を組み合わせるとなると、それぞれのバッテリーも気にしなければいけませんし、何より手間なんですよね。
その点、Osmo Actionの場合はフロントモニターとバックモニターを状況に応じて使い分ける事であらゆるシチュエーションに対応可能です。
「スマートフォンと繋ぐ」という、たったひと手間を省略できることの快適さは、使ってみて初めて分かるメリットですね。
RockSteadyでジンバル要らずの手振れ補正
Osmo Actionの画質や手ブレ補正に関しては、もう動画を見てもらった方が早いですね。
というわけで、購入時の価格が4,999円と、実に価格差9倍のEONFINE製格安アクションカメラとの比較撮影テストを実施してみました。
ハンドルバーマウントを使用し、時速25~30kmほどで速度を合わせて周回走をしての比較となります。
Osmo Actionは手ブレ補正機能『RockSteady』のオン・オフも切り替えていますので、手ブレ補正による映像の変化も参考にしてみてください。
撮影設定はそれぞれの最高設定として、Osmo Actionは4K(3,840×2,160)、EONFINEはフルHD(1,920×1,080)で、フレームレートはどちらも60fpsで撮影しています。
いかがでしょうか。
RockSteadyをONにした時の滑らかな動きは、まるでジンバルを使用しているかのようです!
マイクの音も非常にきめ細かく、安いカメラにありがちな「ゴォー」という走行音も入っていません。
このあたりは価格差なりに順当な差を見せつけたといったところでしょうか。
また、Osmo Actionで撮影した映像は、コントラストや色味が自然で、良い意味で「アクションカメラらしくない雰囲気」になっています。
たとえばGoProですとコントラストが強く、空の色も「青!」といった表現がされますが、Osmo Actionでは色味が淡く、肉眼で見たような自然な色合いになります。
Osmo Pocketでも同じような色味になることから、DJIはそのような「自然な色味」を重視しているのでしょう。
「そのGoProの色が好き!」という人もいますので、このあたりは好みにはなりますが、私はありのままを捉えたように見せてくれるDJIの色味はとても好みですね。
撮影テストを追加で実施予定です!
今回は格安アクションカメラとの比較としてロードバイクのハンドルバーマウントに取り付けた状態での車載動画を貼らせていただきましたが、今後も様々なシチュエーションでの単体撮影テスト・比較撮影テストを追加で実施予定です。
手持ちの映像や静止画撮影、タイムラプス、HDR動画などなど、見たい映像がありましたら記事下のコメント欄やSNSでぜひお気軽にご意見をいただけると嬉しいです!
Osmo Actionと組み合わせたいアクセサリー
Osmo Actionと組み合わせたい必須のアクセサリーや、あると便利な使い勝手を向上させるアイテムを別記事にてまとめて紹介しました。
特に、必須アクセサリーに関しては本体と一緒に買うのを推奨しますので、合わせてチェックをしてみてください。
Osmo Actionと一緒に買うべきおすすめ必須アクセサリーをまとめて紹介2019年にアクションカメラを買うならOsmo Actionがおすすめ!
DJIが満を持して発売しただけあって、非常に完成度の高い商品として仕上がっています。
色味などGoProにはGoProの魅力がありますが、逆に言えば「好みの問題」と言えるほどに肉薄するレベルの製品をDJIは作り上げてきたということですね。
GoPro HERO7シリーズ最上位のBlackと互角に戦える性能を秘め、さらにはHDRなどGoProに無い強みを加え、それでいて価格を抑えたDJI Osmo Actionは、まさに「2019年現在でアクションカメラを買うならこれ!」と自信を持って断言できる1台ですね!
手軽に持ち運べるサイズ感に加えて気軽に遊べるタフさもあり、それでいてジンバルが不要なほどの強力な手ブレ補正が備わったカメラを持って、今までのカメラでは撮れなかったシーンの撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか。