ドローン分野で世界トップシェアを誇るメーカーのDJIは、ドローンのほかにもジンバルやアクションカメラなどなど、魅力的な最先端の製品を生み出し続けています。
そんなDJI出身のメンバーが2017年に立ち上げたのが、『ポータブル電源の最先端企業』を謳うEcoFlow Technologyです。
本日は、そのEcoFlowが2020年にクラウドファンディングで目標金額の500倍以上もの出資金を集めた大注目のポータブル電源RIVERシリーズの『EcoFlow RIVER Pro』を紹介します。
もくじ
EcoFlow RIVER Proポータブル電源
本日紹介するのは、EcoFlow Technologyの720Whポータブル電源『EcoFlow RIVER Pro』です。
クラウドファンディングサイトMakuakeのプロジェクトで、目標金額の500倍以上もの出資金が集まったRIVERシリーズの本製品ですが、どうしてそこまで注目されていたのか・どのような点がほかのポータブル電源と異なるのかなどなど、気になりますよね。
今回はメーカーからレビュー用にEcoFlow RIVER Proを貸していただきましたので、実際に使ってみての使用感も合わせて、詳しく見ていきましょう。
EcoFlow RIVER Pro 基本仕様
EcoFlow RIVER Proは定格出力600W・最大出力1,200Wで、容量720Whのポータブル電源です。
キャンプや車中泊といったアウトドアブームや防災意識の高まりもあって、最近はポータブル電源の選択肢も豊富になり、このクラスの容量・出力の電源も珍しくなくなりました。
それでは、EcoFlow RIVER Proの人気の秘密はどこにあるのでしょうか。
それは、ほかのポータブル電源には無い特徴的で個性的な機能が「これでもか」と詰め込まれており、そのうえカタログスペックだけでは分からない品質や性能面もたいへん高水準にまとめられている点にあります。
専用エクストラバッテリーで容量を倍増!
EcoFlow RIVER Proには革新的な機能が多数盛り込まれていますが、その中でも目を見張る最大の特徴は、専用の外付けバッテリー『EcoFlow RIVER Pro専用エクストラバッテリー』と合体させることで、電源容量を2倍の1440Whに増やせる点でしょう。
電源本体を2つ買うよりも安く抑えられますし、「デイキャンプならEcoFlow RIVER Proだけで、泊まりならエクストラバッテリーも持っていこう」といった形でシチュエーションに合わせて荷物を最小限にまとめられます。
また、2つに分けられるので持ち運びにくくなるかと思われがちですが、たとえば1000Whを超える超大容量のポータブル電源となると相当な重さになります。
その点、EcoFlow RIVER Proとエクストラバッテリーという形で別々に持ち運べるなら、それぞれ7kgほどですので、力の弱い方でも気軽に持ち運べます。
今回はEcoFlow RIVER Proのみのレビューですが、機会があればエクストラバッテリーも組み合わせて使ってみたいですね。
EcoFlow RIVER Pro 端子類
EcoFlow RIVER Proの本体を詳しく見てみましょう。
出力端子は以下の通り。
- AC出力ポート×3
- USB-A出力ポート×3(1ポートは急速充電対応)
- USB-C出力ポート×1(最大100W)
- DC5521出力ポート×2
- シガーソケット出力ポート×1
AC以外の出力ポートは本体正面に集約されており、左上にはLEDライトが内蔵されています。
本体側面には上から冷却ファンにAC出力ポート、そして今回は使いませんがエクストラバッテリーの接続端子ですね。
反対側の側面では入力系のポートが保護カバーで守られています。
入力はACのほか、ソーラーチャージャーやシガーソケットからの充電に対応しています。
このAC充電にまた驚かされたのですが、その前に付属品を見てみましょう。
- DC5521-DC5525 ケーブル
- 1.5m MC4 to XT60 ソーラーパネル充電ケーブル
- 1.5m AC充電ケーブル
- 1.5m シガーソケット充電ケーブル
- ユーザーマニュアル
以上になりますが、ここで気付きましたでしょうか。
なんと、ACアダプターが付属していないのです!
X-StreamテクノロジーでACアダプターいらずの高速充電
大容量のポータブル電源には、その大容量バッテリーを高速充電するために巨大なACアダプターが付属するというのが、これまでの常識でした。
ところがEcoFlow RIVER Proでは、X-Stream充電テクノロジーという独自技術が採用されており、その結果なんとACアダプター無しで、ACケーブルのみを接続すれば充電が出来てしまいます。
ACからDCへの電力変換ユニットを本体に内蔵されているのだと思われますが、それでいて同クラスの容量を持つポータブル電源と比べて重量も変わらず、つまりはACアダプターの分をまるまる軽量化・小型化できているのですから驚愕です…!!
余談ですが、電力などエネルギーの変換時にはどうしてもロスが生じるもので、そうしたロス(ACからDCへ変換できなかった分のエネルギー)は熱などに変わります。
変換効率が高いほど発熱は少なく抑えられるため、冷却や放熱のための機構もシンプルだったりコンパクトなもので済みます。
本来は巨大なACアダプターが行っていた役割をポータブル電源本体に内蔵できていて、そのうえ電源本体のサイズもコンパクトにまとめられている点から、EcoFlow RIVER Proの電源変換効率の優秀さがうかがえます。
さらに、ACアダプターを無くしているからといって充電速度で妥協したりもしておらず、それどころか超高速で、その速さは空っぽになったバッテリーを0%から1時間以内で80%まで充電できるほど。
80%を超えるとバッテリーの保護のために速度を落としますが、それでもゼロから100%までのフル充電が1.6時間で完了するというのですから、もう驚かされっぱなしです。
開封の「体験」を楽しめる
EcoFlow RIVER Proの使用感に入る前に、箱を開けて本体を取り出すまでの間に盛り込まれていた遊び心についても語らせていただきます。
箱を開けた時、最初に出てくるのは付属品が入った小箱です。
その小箱を取り出すと、EcoFlow RIVER Proの特徴的なX字型のハンドルがチラッと姿を見せます。
真っ白い発泡スチロールで本体を丸ごと覆っている製品が一般的ですが、EcoFlow RIVER Proはポータブル電源というよりむしろパソコンやスマートフォンを思わせるようなワクワクするパッケージになっています。
付属品の小箱も裏面が簡易マニュアルになっていたりと、遊び心と使い勝手とを調和させており、開けて使うまでの「開封の儀」を満喫させてくれました。
さらには本体にも、「塗装ムラをあえて残すことで、世界に1つ、自分だけのEcoFlowバッテリーになる」という旨のメッセージが書かれた保護フィルムが貼られています。
フィルムを剥がす作業や、塗装ムラまで楽しめるように工夫するとは…脱帽です。
EcoFlow RIVER Pro レビュー
それではいよいよ、EcoFlow RIVER Proを実際に使ってみての感想を紹介します。
まず注目したいのが液晶ディスプレイの表示です。
バッテリー残量を1%単位で細かく表示できるだけでも非常に嬉しいのですが、EcoFlow RIVER Proではなんと、現在の出力から計算した使用可能時間を表示してくれるのです。
これは地味ながら滅茶苦茶ありがたい機能で、今使っている機器をあと何時間動かせるのかが分かれば、夏キャンプの空調や冬キャンプの暖房器具を使用する際のペース配分でも困ることが無くなります。
「スペック上は1000Whあるし、3時間は使えそうだな」なんて計算していたのに、実際に動かしてみたらその半分も持たなかった…なんて製品も時々ありますので、そうした思わぬトラブルを防ぐ心強い機能です。
詳細なバッテリー残量・残時間表示に加え、バッテリー残量の減り方そのものも仕様とのギャップが少ないと感じた点も、信頼性の高さに繋がっています。
先ほどお話しした変換ロスが大きい電源ですと、たとえば100Wの電力の機器を動かすのに電源内部では200Wの電力を消費していて、単純計算よりも稼働時間がかなり短くなってしまうなんて場合も…。
EcoFlow RIVER Proはというと、その計算上の時間と実際の稼働時間との差がかなり少ない印象でした。
160W程度のプロジェクターを1時間動かしたところ、残量は90%から62%まで減りましたが、これは200Whほどを消費した計算です。
効率80%というのは個人的にはかなり優秀だと感じる数値ですね。
ちなみにこのテストで使用したプロジェクターは投影中こそ160W前後を推移しますが、起動時には瞬間的により大きな電力を消費するためか、同クラスのポータブル電源でも出力によっては起動すらできないこともあります。
そんなプロジェクターをパワフルに動かせるEcoFlow RIVER Proは出力・容量ともに余裕があり、電池残量の消費ペースも把握しやすく、信頼性という点においてとにかく好印象です。
EcoFlow RIVER Pro 出力テスト
プロジェクターのほかにも、様々な機器をEcoFlow RIVER Proに繋いで使用してみました。
まずは、ポータブル電源と組み合わせると便利な家電の1つ、掃除機(クリーナー)です。
コードレスのクリーナーが無い家庭でも、ポータブル電源を組み合わせればコンセントの無い場所のお掃除も快適に行えます。
EcoFlow RIVER Proは7kg程度とそこまで重たくもないため、家の外へと気軽に持ち出して、車内の掃除にも大活躍してくれました。
もう1つは、USB-C出力のテストをするべく、ノートパソコンと接続してみることに。
EcoFlow RIVER ProのUSB-Cは最大100Wの大出力に対応しているため、MacBook ProなどのUSB-C充電対応デバイスを超高速で充電可能です。
私の愛機『HP ENVY x360 15-ee0020au』を接続してみたところ、70Wオーバーで電力が供給されており、PCに付属のACアダプターが65Wですので、それよりも速い優秀な充電器として使えました。
キャンプでは、やまとさんが消費電力600W程度の電気式ホットサンドメーカーを組み合わせて使用したところ、10品を作ってもまだ電池残量に余裕があったほどです。
バッテリー残量の消費ペースについては動画が参考になりますので、気になる方は合わせて視聴してみてください。
配線はスッキリ。なのに速い!
EcoFlow RIVER Proの魅力は、出力だけではありません。
お弁当箱のように大きなACアダプターを必要としないEcoFlow RIVER Proなら、ケーブル1本を繋ぐだけで本体を充電できて、取り回しにも優れています。
充電速度もとにかく速く、80%までは600W近い電力で行われるため、キャンプ前夜に充電をし忘れていても当日の朝にケーブルを繋いで身支度をしていれば、出発前には電源の準備ができてしまうほど。
これまでにも数多くのポータブル電源をレビューしてきましたが、この速度は間違いなく過去最速です!
少々気になったのは入力端子の保護カバーについてですね。
指の入るスキマが狭くて若干開けづらく、また開閉時にパキッと小気味よい音が鳴るのですが、そのうち割れそうで心配になりました…。
専用アプリとの連携でさらに使いやすく
EcoFlow RIVER Proの特徴として、専用アプリと連携することで離れた場所からポータブル電源の操作や管理ができるという機能があります。
EcoFlow – Power A Free Life
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専用アプリはiOS・Androidに両対応しており、私はAndroid版をインストールして動かしてみました。
EcoFlowアプリでは、温度・残量・残時間といった電池の状態を確認できるほか、LEDライト・AC出力・DC出力のオンオフ切り替えといった操作も行えます。
アウトドアチェアにドカッと座ると立ち上がるのが面倒になってしまいますので、その場から動かずに操作できるというのもキャンプではありがたいですね。
高品質・高性能で革新的なポータブル電源
DJI出身のメンバーが立ち上げたポータブル電源メーカーと聞いて、DJI製品を愛用している私としても期待値のハードルをかなり高く設定していたのですが、『EcoFlow RIVER Pro』はその期待を軽く超えてきました。
ポータブル電源分野は、これまでにかなりの数の製品に触れてきましたが、今までのアタリマエが覆されたかのような、それほどの驚愕と感動です。
開けるだけでワクワクさせてくれるパッケージ、ACアダプター無しでの超高速充電、細かい残量・残時間表示、アプリでの操作、そして今回は試せませんでしたがエクストラバッテリーによる拡張と…。
手に入れる前の期待に始まり、開けた瞬間に味わう感動、そして文句なしの使い勝手に拡張性もバツグンと、大満足のポータブル電源です!
EcoFlowシリーズは今回紹介した『EcoFlow RIVER Pro』以外にも、容量や価格を抑えた『EcoFlow RIVER』などがありますので、ぜひチェックしてみてください。