動画編集を始めるにあたって作業の効率に大きく関わってくる要素がパソコンのスペックです。
スペックの低いパソコンでは、動作が遅くなるどころか、動画編集ソフトを動かすことすら困難な場合もあります。
そこで今回の記事では、動画編集用のパソコン選びで見るべきポイントを、パソコン自作歴10年以上の私がまとめて解説します。たとえば以下のような動画編集が可能になります。
記事の最後ではおすすめの動画編集用パソコンも用途別に紹介をしていますので、動画編集用のパソコン選びで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
もくじ
動画編集をするならデスクトップパソコンがおすすめ
パソコン選びでまず最初に悩む問題といえば「デスクトップパソコンとノートパソコンのどちらが良いのか」ではないでしょうか。
結論から言えば、動画編集に本気で取り組むならデスクトップパソコン一択です!
ノートパソコンは持ち運べて、場所を選ばずに使えますが、本体サイズをコンパクトにするために拡張性や放熱性が犠牲となってしまっています。
そのため後から性能を高めることが厳しく、そもそもデスクトップパソコンに搭載できるような高性能なパーツを使うことが出来ません。
また、小型化するのにもコストがかかるため、同じくらいの性能のデスクトップパソコンとノートパソコンですと、ノートパソコンの方が価格が高くなってしまいます。
部屋に置くスペースが無いなど、どうしてもノートパソコンにしたい理由が無いのであれば、安価に高性能なマシンが手に入るデスクトップパソコンをおすすめします。
動画編集用パソコンに必要なスペック
動画編集は、パソコンの一般的な用途の中では最も負荷のかかる作業となります。
そのため、言ってしまえば「パソコンは高ければ高いほど良い」という身もふたもない結論となってしまいます。
しかし、そうは言っても予算には限りがあるものですので、各パーツの役割や特徴を整理しつつ、動画編集用パソコンでお金をかけるべきポイントを見ていきましょう。
CPUに最もお金をかけるべき
パソコンのパーツの中でも、予算の許す限りで最もお金をかけるべきポイントがCPU(Central Processing Unit)です。
CPUとは人間でいえば脳の役割があり、パソコンの処理性能を決めるパーツです。
簡単に言えば、このCPU性能が高ければ高いほど、動画編集を快適に行えるようになります。
フルHD動画のカット編集程度であれば、最新世代のIntel Core i5以上の性能があれば充分です。
4Kのような高解像度の動画を編集したり、スローモーションや倍速といったエフェクトを多用した編集をする場合には最低でもCore i7クラスのCPUが必要です。
ちなみにCPUは聞き慣れたIntelのほかにもAMDというメーカーがあり、パソコン用のCPUはこの2社がシェアを二分しています。
AMD製CPUはIntel製CPUに比べてコストパフォーマンスが優れることに定評があり、たとえば6万円近いIntel Core i9 9900Xと4万円ちょっとで買えるAMD Ryzen 7 3700Xがほぼ同じ処理性能を持っています。
従来のAMD製CPUは動画編集の分野でIntelに一歩劣っている印象がありましたが、最新の第3世代AMD Ryzenプロセッサーはそうした弱点もカバーし、高性能なマシンを安く買いたい人にぴったりのCPUとなりました。
メモリが足りないとCPU性能を活かせない
どんなに高性能のCPUを搭載しても、充分な量のメモリ(RAM)を積んでいないと、性能を発揮しきれません。
メモリは作業机のような役割だとイメージすると分かりやすいです。
机が狭いと参考書とノートを広げるのが精一杯でも、机が広ければさらに辞書を置く余裕が生まれて勉強の効率が上がりますよね。
それと同じように、メモリを多く搭載すると、より多くの作業ファイルをまとめて扱えるので、動作のもたつきが軽減されます。
実際に搭載するメモリ量の目安ですが、先ほどのCPUと同じくフルHD動画のカット編集を例に挙げると、8GBでなんとか可能、できれば16GBは積んでおきたいところです。
サイズの大きい4K動画ファイルを扱う場合には32GB程度は確保しておきましょう。
ストレージをSSDに変更して動作を高速化!
メモリを作業机だとするならば、ストレージ(データ保存領域)は本棚です。
本棚から参考書や辞書を取り出して机に広げて作業するように、パソコンの場合は必要なファイルをストレージからメモリに持って来て処理を行います。
作業机であるメモリの大きさに比べ、動画編集で扱うファイルの大きさの方が遥かに大きいため、動画編集作業中にはストレージとメモリ間でのファイルのやり取りが頻繁に発生します。
この時、ストレージの読み込み・書き込み速度が遅いと、操作1つ1つのタイミングで待ち時間が発生してしまいます。
そこで役立つのがSSD(Solid State Drive)です。
SSDは大きなメモリーカードのようなもので、従来のHDDと同じように使えるストレージですが、読み込み・書き込み速度はHDDの数倍から数千倍にもなります!
数千倍もの速さが発揮されるのはランダムアクセスと呼ばれる項目なのですが、このランダムアクセス速度こそ、作業中のもたつきに直結する要素なのです。
GPUは予算に余裕があるなら
CPUと似た役割を持つパーツにGPU(Graphics Processing Unit)が存在します。
GPUは「画像描写処理用の脳みそ」と認識していただければOKで、美しいグラフィックの3Dゲームをパソコンで遊ぶ場合には、高性能なGPUを搭載したグラフィックボードが必要不可欠です。
画像描写処理用と聞くと動画編集にも役立ちそうに思えますが、動画編集においては先に挙げたCPU・メモリ・SSDに比べると効果が薄く、優先度としては低めになります。
予算が余っていたり、CPUやメモリを充分に積んだ状態でのアップグレード程度に考えればOKです。
また、GPUはNVIDIAとAMDの2社が主にシェアを占めていますが、それぞれ得意分野が異なります。
たとえばAdobe Premiere ProであればNVIDIAのGeForceシリーズが最適化されています。
「無いよりはある方が良いだろう」といった考えで性能の低いGPUを積んでも効果は得られませんので、搭載するのであれば、GeForceならばGTX 1660 Tiなどミドル以上のグレードにしましょう。
実際に動画編集で使用しているパソコン
動画編集用パソコンに必要なスペックが整理できましたので、それを踏まえて私たちが動画編集で実際に使用しているパソコンを見ていきましょう。
スマートフォンで撮影した動画の編集を行う場合
私はASUSのノートパソコン『ZenBook Flip S UX370UA』で動画編集を行っています。
スペックは第8世代Intel Core i5 8250にメモリ8GBと、まさに最低限の構成。
詳しくは私のブログ「力こそパワー」にてレビュー記事で解説をしています。
参考 世界最薄の2in1機「ASUS ZenBook Flip S」を購入した理由とファーストインプレッション力こそパワー私の主な用途がフルHD動画の簡単な編集のため、ノートパソコンでもなんとか作業をこなせていますが、お世辞にも快適とは言えません。
カット編集程度ならば問題無いのですが、倍速などのエフェクトをかけるとプレビューが行えないほどに動作が重たくなってしまいます。
さらに最近はそのような高負荷をかけ続けた影響か、PCのバッテリーが一気に劣化し、ACアダプターを繋いだままでないと一瞬で電源が落ちるようになってしまいました。。。
やはり動画編集を行うのであればデスクトップパソコンを使いたいですね。
一眼で高画質の動画を撮影して編集する場合
映像の美しさにコダワリを持ってクリエイティブな動画を編集しているけんいちさんの場合は、もちろんデスクトップパソコンを使用しています。
以前はIntel Core i7を中心にそこそこのハイスペックパソコンを使っていたのですが、先日「ワークステーション」と呼ばれる一般向けでない、いわゆる業務向けのマシンを入手して作業環境が大きくパワーアップしたのです。
特筆すべきはCPUで、サーバー向けCPUであるIntel Xeonを2つ搭載し、20コア×2スレッド×デュアルCPUで、なんと40コア80スレッドのモンスターマシンとなっています。
タスクマネージャーのCPUの表示スタイルが見たこと無い感じになっとる pic.twitter.com/IbpMzQ1ip6
— うぃる (@wright_ssvd) 2019年5月2日
CPUの使用状況を確認できるタスクマネージャーも、スレッドが80もあるせいで見たことの無いようなレイアウトになっています。
さらにはメモリも64GB、SSDも2つ搭載しており、GPUのGeForce GTX 1060が控えめに感じてしまうほど。
そんなけんいちさんのマシンについてはYouTube動画内でも紹介しています。
用途別おすすめの動画編集用パソコン
上記した内容をもとにパーツを個別で購入して自作したり、今お使いのマシンのパーツを交換するのもアリですが、パソコンに詳しくないとなかなかハードルが高いですよね。
そこで、私も使用しているDospara(ドスパラ)のraytrek(レイトレック)シリーズの中から、用途別におすすめのマシンをピックアップして紹介させていただきます。
フルHD動画をサクサクと編集したいなら
raytrek AT マシン構成 | |
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CPU | AMD Ryzen 7 3700X |
メモリ | 16GB |
ストレージ | SSD(1TB) |
GPU | GeForce GTX 1060 Ti 6GB |
価格 | 159,980円(税別) |
動画編集をこれから始めてみたい・フルHD動画をサクサクと快適に編集したいなら、Ryzen 7 3700Xにメモリを16GB、SSDも余裕のある1TBを搭載したraytrek ATがおすすめです。
もっと安価なモデルでraytrek NUC BC7も存在しますが、「NUC(Next Unit of Computing)」と呼ばれるお弁当箱ほどのサイズしかない小型マシンゆえにノートパソコンと同様の弱点があるため、動画編集を本格的に行いたいのであればraytrek ATを選んだ方が、より長く安心して使い続けられます。
4K動画もパワフルに編集するなら
raytrek AXGF マシン構成 | |
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CPU | AMD Ryzen 9 3900X |
メモリ | 32GB |
ストレージ | SSD(1TB)+HDD(3TB) |
GPU | GeForce RTX 2070 SUPER 8GB |
価格 | 274,980円(税別) |
4K動画の編集など、高い負荷のかかる作業もスムーズにこなせるパワフルなマシンが欲しいのであれば、raytrek AXGFがベストバイです。
一般向けでは最高クラスのCPUとなるRyzen 9 3900Xにメモリもたっぷり32GB、さらには1TBのSSDに3TBのHDDも搭載して、まさに死角なしのハイスペックマシンとなっています。
何と言っても注目すべきは、圧巻のコストパフォーマンスです。
raytrek ZZ 9900Kと比較してCPU性能で上回りながら、なんと4万円以上も安いという驚きの価格設定です。
raytrek ZZ 9900Kと比べると搭載GPUがGeForce RTX 2080からGeForce RTX 2070 SUPERへと1ランクダウンしていますが、動画編集における優先度としてはCPU性能の方が重要ですので、より良いCPUを積みながら価格を抑えられている注目の1台です!
BTOで自分に合わせた性能と価格にカスタマイズ
ドスパラではBTO(受注生産)も行っており、構成をカスタマイズすることも可能です。
たとえば予算に余裕があるならメモリの量を増やしたり、逆にGPU性能を下げて安くしたりと、自分に合ったスペック・価格へと柔軟に変更ができます!
必要なパーツにお金をかけて、そのうえで不要なコストは極力カットしていき、快適な作業環境を最小限の金額で手に入れてしまいましょう。
まずは実際に構成を変更して、金額を確認してみてください。
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