写真や動画を撮影するうえで、露出(明るさ)は非常に重要です。
露出は多すぎても少なすぎてもNGで、後から編集ソフトで修正をするのにも限界があります。
そのため撮影の時点で、最適な露出である「適正露出」で撮影しなくてはなりません。
そこで今回は、適正露出で撮影するために覚えるべきマニュアル設定の基礎について学んでいきます。
適正露出については前回の記事で詳しく解説していますので、そちらも合わせてチェックしてみましょう。

◆一眼動画8つのマニュアル◆
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F値(絞り値)を基本から理解してボケ味のある動画を一眼で撮影しよう - シャッタースピード
動画撮影に最適なシャッタースピード設定|地域に合わせたフリッカー対策 - ISO感度
ISO感度を調整して暗い場所でもノイズを低減したクリアな動画を明るく撮影
もくじ
美しい動画を撮影するにはマニュアル設定が必須
美しく滑らかな映像を適正露出で撮影するためには、カメラのマニュアル設定を使いこなす必要があります。
写真であれば細かい設定をカメラに任せるオートモードにして、露出補正で明るさを調整しても良いのですが、動画の場合は露出補正が出来ません。
厳密に言えば、動画撮影においてもプログラムオートや絞り優先オート、シャッタースピード優先モードであれば露出補正の操作自体は可能です。
しかし、違和感の無い映像を滑らかに撮影するためには、シャッタースピードを固定しておかねばなりません。
シャッタースピードが撮影シーンの明るさに応じて自動で動くようにしてしまうと、動画にカクツキやブレが出てしまうためです。
そしてシャッタースピードを固定すると、マニュアル設定以外のモードでは明るさに合わせてその他の設定が変動してしまい、一眼で撮るメリットである「ボケみ」が失われてしまいます。
そのため、シャッタースピードを含めた各数値を、撮影シーンに合わせて手動で設定してあげるマニュアル設定が必須になるのです。
露出は光の量と時間で決まる
それでは適正露出に調節するための、マニュアル設定の基本となる概念を見ていきましょう。
まず、マニュアル設定には、撮影した映像の品質に大きく影響する、以下の3大要素が存在します。
- F値
- シャッタースピード
- ISO感度
これらの役割を理解し、適切に設定をすることで、「あなたの理想」を写真や動画で表現できるようになります。
一眼やミラーレスのようなマニュアル設定のあるカメラだけでなく、スマートフォンやGoProなどでの動画撮影時にも活用可能な知識ですので、この機にしっかりと身につけましょう。
露出とは、レンズを通ってイメージセンサーに当たる光の量のことを指します。
そして光の量は、当たる光の大きさと当たっている時間の長さで決まります。
たとえば、コップに水を溜める場合、蛇口を大きくひねれば多くの量の水が出て短時間で溜まりますよね。
一方で、蛇口をひねる量は少なくても、時間をかければ同じように満タンになります。
これがカメラの場合ですと、光の量調節をF値で、光の時間調整をシャッタースピードで行い、その取り込んだ光にISO感度を組み合わせることで映像の明るさが決まります。
それぞれの設定が、明るさにどのように影響しているのか、仕組みを1つずつ見ていきましょう。
F値でレンズから取り込む光の量を調節
カメラのレンズ内部には複数枚の羽があり、その羽の開き具合で取り込む光の量を調整します。
そして、取り込む光の量を表す数値がF値(絞り)です。
F値はイラストを見てわかる通り、光の量を絞って調節します。
コップに水を溜める例でいうところの「蛇口をどれだけ回しているか」にあたる役割ですね。
F値は、数値が小さくなるほど開いている穴は大きくなり、使用しているレンズで最も大きく開いた状態を「開放絞り」と呼びます。
開放絞りであればたくさんの光を取り込めるので映像は明るくなり、逆に絞っていくと光の量が小さくなるため、暗くすることができます。
F値について、詳しくは以下の記事で解説をしています。

シャッタースピードは光を取り込む時間の長さ
F値が「蛇口をどれだけ回しているか」だとすれば、「どれだけの時間水を灌ぐか」にあたるのがシャッタースピードです。
実は、カメラのシャッターは基本的に閉じています。
撮影ボタンを押すと、その瞬間だけシャッターを開いて光を取り込み、そしてまた再び閉じます。
このシャッターが開いている時間こそがシャッタースピードなのです。
シャッターを長く開けていれば、その分だけ光を長時間取り込めるというわけですね。
F値が小さければ大きな光が入ってくるため、シャッターを開くのが一瞬でも十分な明るさを確保できます。
逆にF値が大きく、入ってくる光の量がわずかでも、シャッターを長時間開いておけば、撮影した写真や映像は明るくなります。
上のイラストではそれぞれ設定が異なるものの、取り込む光の量は同じなので、写真の明るさも同じになります。
今回は「明るさに対する影響」を理解していただくことが目的のため、F値やシャッタースピードが明るさ以外のどのような要素に影響してくるのかは、個別記事で解説させていただきました。

ISO感度で光を増幅し、暗い場所でも明るい映像に
そして最後のISO感度は、取り込んだ光をどのくらい増幅させるかを設定する項目です。
デジタルカメラの場合、イメージセンサーに当たった光を電子信号に変えて処理していますが、ISO感度を上げることによって電子信号を増幅させることができます。
たとえば、ISO感度の数値を2倍にあげた場合は電気信号も2倍になり、つまり光の量が半分でも同じ明るさの写真や映像が撮れます。
室内や光が少ないシーンでも、ISO感度を上げれば暗い場所でも明るい写真を撮れるというわけですね。
しかし、ISO感度を上げすぎるとノイズが入ってしまうため、注意が必要です。
写真であれば、暗い場所でもシャッタースピードを遅くすれば、多くの光を取り入れることができます。
しかし、動画の場合はフレームレートの関係でシャッタースピードの設定に縛りがあるため、このISO感度を上げるか、照明を当てたり明るい場所に移動したりして撮影しなければなりません。

まとめ
今回は、カメラのマニュアル設定における3大要素それぞれの仕組みと露出(明るさ)に対する役割について学んできました。
- F値
- シャッタースピード
- ISO感度
今回の記事では、以上の3大要素の全てが露出に関係すると覚えておきましょう。
そして、それぞれの役割を理解しないままで明るさを合わせようとして設定を変更すると、ボケみやブレといった明るさ以外の撮影品質にも大きな影響を及ぼします。
F値・シャッタースピード・ISO感度の設定をもっと深く理解できるように、それぞれを個別の記事で解説させていただきます。
次回の記事では、まずはF値についてご紹介させていただきますので、楽しみにしていてください。
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