ドローンでの空撮は誰でもできるようになったものの、「許可を取らなければいけないシーン」はわかりづらいですよね。
実は、ドローンは飛ばしても良い・悪い場所(空域)や飛行方法は法律や条例によって定められています。
- 飛行が禁止された空域や場所かどうか
- 航空法で定められた6つの飛行方法かどうか
つまり、ドローン飛行の許可・承認は、「飛ばす場所」と「飛行方法」で必要な手続きと申請先が決まるということです。
この2つのルールを理解することで、初心者であっても安全に飛行できるようになります。
また、許可なしで飛行できる場所や飛ばし方もわかるので安心ですね^^
もし、これらの場所や飛行方法で空撮をしたい場合、許可が必要になりますので、その判断材料として参考にしていただけますと幸いです。
もくじ
「知らなかった」では済まされない!本当は怖いドローンのルール
ドローンが身近な存在になり、誰でも手軽に空撮ができるようになりました。
それと同時に、正しい知識を持たずにドローンを飛ばしていてしまい、気づかずに法律違反をしてしまう人もたくさんいます。
実際に、ドローンで法律違反をして逮捕されたケースも出ているほどです。
場合によっては、50万円以下の罰金が課せられることもあるため、「知らなかった」では済まされません。
第百五十七条の四 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第百三十二条の規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
二 第百三十二条の二第一号から第四号までの規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
三 第百三十二条の二第五号の規定に違反して、無人航空機により同号の物件を輸送した者
四 第百三十二条の二第六号の規定に違反して、無人航空機から物件を投下した者航空法:第百五十七条の四より引用
墜落させるだけならまだしも、人や物を傷つけるようなことは絶対にあってはいけません。

国交省の許可
思わぬトラブルや事故を起こさないためにも、しっかりとルールを学ぶ必要がありますね。以下からは、ドローンの飛行に許可が必要な空域や場所、飛行法についてみていきましょう!
無人航空機(ドローン)の飛行の許可が必要となる3つの空域
航空法では、以下の図のように「許可が必要な空域」と「不要な空域」が明確にわかれています。
- 空港周辺
- 150m以上の上空(空域)
- 人口集中地区(DID:住宅街など)
国土交通省|航空局ポスターより抜粋
国交省のホームページに記載がある通り、上記3つの空域での飛行が禁止されています。
(飛行の禁止空域)
第百三十二条 何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
二 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空
そのため、上記3つの空域でドローンを飛行させるためには「管轄の空港事務局」や「国土交通省」の認可がなければ飛行できません。
仮にフライトさせる場所で許可を取っていたとしても、航空法を守らなければ重大な事故に繋がる危険性があるのです。
ドローンを規制する航空法が飛行を禁止する3つの空域について、1つずつ見ていきましょう。
1.空港周辺で飛行する場合の注意点
ドローンが飛行機やヘリコプターなどに接触した場合、重大な事故が発生する可能性があります。
そのため、空港周辺でドローンを飛ばすためには、「管轄の空港事務所」の許可が必要です。
また、一言に「空港周辺」といっても、その範囲は大きいです。詳しくは、「地理院地図」やドローンシェア世界一の「DJIフライトマップ」から確認できます。
たとえば、以下の「地理院地図」を見ると飛行禁止エリアは一目瞭然ですね。
参考 電子国土web地理院地図
地理院地図より抜粋
参考 DJIフライトマップDJI
DJIフライトマップより抜粋
空港から距離があると思っていても、周辺は飛行禁止エリアに指定されていているので注意が必要です。
具体的には、全ての空港から半径6km以内が該当しています。
羽田空港、成田空港、中部空港、関西空港、釧路空港、函館空港、仙台空港、大阪国際空港、松山空港、福岡空港、長崎空港、熊本空港、大分空港、宮崎空港、鹿児島空港、那覇空港
これらの空港周辺では、半径24kmの範囲でドローンの飛行が禁止されているので注意してください。
このとき、僕が愛用しているPhantom4proを販売しているDJI製品が能力を発揮します!
空港周辺や飛行が禁止されている場所では、GPSで感知してモーターが始動しないように制限がかけられているからです。
ただし、航空法で定められている飛行禁止エリアよりもDJIの「No Fly Zone」は狭いです。
あくまでも「重大な事故を防ぐための補助的機能」と考えておき、特別な理由と許可がない限り空港周辺は徹底して飛ばさないことをお勧めいたします。
軽い気持ちで飛ばして、事故を起こしてしまってからでは取り返しがつかないので……。
なお、空港周辺で飛ばしたい場合は、管轄の空港事務所に許可を申請取得後、DJIに許可日時を伝えます。
すると、その時間帯だけ飛行できるように規制が解除される仕組みです。
空港が近くにある場合、事前にマップで確認しておきましょう! 各申請先は以下の通りです。
参考 本省運航安全課、地方航空局及び空港事務所の連絡先等一覧国土交通省僕はDJIのPhantom4proを使用しています。安全規制はもちろん、障害物感知や自動運転、さらには4k対応のカメラがジンバルに乗っているのでブレることなく高画質な映像を安全に撮影できるのでオススメです!
2.150m以上の上空(空域)
これは文字通り、150m以上の上空を飛行させることは航空法で禁止されています。これ以上は飛行機やヘリコプターが飛行する空域なので、接触を防ぐためです。
また、高さ制限があるのは落下したときの衝撃が大きくなることも理由の一つですね。
飛ばすためには、空港周辺の時と同様に「管轄の空港事務所」の許可が必要になります。
また、地面・水面から150mなので、たとえば山のてっぺんから149m上昇して谷へ入った場合、150m以上になって規制の対象になるので気をつけましょう。
3.人口集中地区・人家の密集地域(DID:住宅街など)
人口集中地区とは、人口密度の高い街や住宅街のことを指します。ドローンが接触したり墜落したりした際に、人や建物を傷つける恐れがあるので航空法で飛行が規制されています。
こちらも地理院地図やDJIフライトマップで調べられるため、しっかりと確認するようにしましょう。
以下の地理院地図の場合、地図上の赤くなっている部分が人口密集地区です!
人口集中地区・人家の密集地域で飛行させるためには、「国土交通省」へ申請・許可が必要になります。
認可が降りていない場合は、上記で紹介した地図で人口密集地区を避けるように注意しましょう。
こうやってみると、法律を守って安全にドローンを飛ばそうとすると都度確認が必要ですね。
毎回調べるのが大変そうです……。
調べてみたら、アンドロイドにアプリがありませんでした。以下が出てきましたので、参考にしていただけますと幸いです!
航空法はドローンの重量も関係してくるので注意:200gの壁
200g以上の重量があるドローンは、先に解説させていただいた航空法が適用されます。
しかし、200g未満の「トイドローン」「ホビードローン」と呼ばれるドローンは、航空法が適用されません。航空法は200g以上のドローン(ラジコン|無人航空機)が対象だからです。
その代わり、200g未満のドローンには、「小型無人機等飛行禁止法」が適用されます。
おもちゃのドローンにも法律が絡んでくるので、注意が必要です。
参考 小型無人機等飛行禁止法関係警察庁基本的には、思わぬ事故や法律違反を犯さないためにも、たとえ200g未満のドローンであっても「航空法で定められている空域」での飛行は避けるのが無難です。
事故を起こしてからでは遅いため、航空法で禁止されている場所以外であっても「趣味として飛行させる程度」にとどめておきましょう!
その通り!
DJI製品などのように、本格的なドローンをお持ちの方は航空法を常に意識しましょう!
航空法以外でドローン飛行に許可が必要な4つの事例+α
航空法でドローンの飛行が禁止されている以外の場所であっても、飛行許可が必要な場所があります。以下の通りです。
ドローン飛行に許可が必要な場所 | 適用される法律や条例 |
国の重要な施設、外国公館、原子力事業所等の周辺
(国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館等及び原子力事業の周辺など) |
小型無人機等飛行禁止法 |
道路の上空
(道路上や路肩でドローンの離着陸を行う場合。また車両の通行に影響を及ぼすような低空飛行をする場合など) |
道路交通法(第七十七条) |
私有地の上空
(私有地全般・鉄道、線路・神社仏閣、観光地など) |
民法(第二百七条) |
条例による飛行禁止空域
(各都道府県や市町村が条例によりドローンの飛行を禁止しているエリア) |
各都道府県、市町村の条例 |
しかし、思わぬ事故やトラブルを回避するために、「+α」として特別な理由がない限り米軍基地上空・周辺のドローンの飛行も避けることをオススメします。
ドローンの飛行に関する法律や申請場所は、以下を参考にされてください。
ドローン飛行に関わる法律やルール | 許可・申請が必要な場所 |
航空法 | 管轄の空港事務局、あるいは国土交通省に飛行許可をもらう |
小型無人機等飛行禁止法 | 対象施設の管理者や土地の所有者 |
道路交通法 | 警察署 |
民法 | 土地の権利者 |
電波法 | 総務省(無線技士の免許も必須) |
条例 | 都道府県や市町村 |
この表からもわかります通り、国土交通省へドローンの飛行許可が必要なのは、航空法で規制がかかっている場所や条件での飛行に関してのみです。
ドローンを飛ばすためには、あらゆる法律やルールが絡み合っていることがよくわかりますね。
仕事として規制されている場所で飛行する際は、各機関へ許可をもらうようにしましょう。
航空法で定められた無人航空機(ドローン)の6つの飛行方法とは
実は、航空法は3つの飛行禁止空域にプラスして、6つの飛行方法も定めています。
禁止区域以外であっても、これらを守らなければ航空法違反になってしまうので要注意です!
それができない場合、「国土交通省の許可」が必要なので覚えておきましょう。
以下のイラストで解説されている通り、ドローンを飛行させる際は6つのルールを守らなければいけません。
国土交通省|航空局ポスターより抜粋
(飛行の方法)
第百三十二条の二 無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。ただし、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、次の各号に掲げる方法のいずれかによらずに飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けたときは、その承認を受けたところに従い、これを飛行させることができる。
- 一 日出から日没までの間において飛行させること。
- 二 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
- 三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
- 四 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
- 五 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
- 六 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。
誰でも飛ばせるからこそ、法律でルールを作らないと事故につながるので仕方がないですね。
とはいえ、人気のない場所でちょっとした風景の撮影や飛行練習であればできるので趣味程度であれば十分ですね!
前述の通り、上記の条件の範囲外でドローンの飛行・空撮を行いたい場合、国土交通省や各機関に許可・申請が必要であることを意味します。
許可が必要な6つの飛行方法は以下です。
- 夜間の飛行
- 人や物の距離が30m未満の近距離での飛行
- ドローンを目視で確認できない距離での目視外飛行
- イベント会場上空の飛行
- 危険物の輸送
- 物の投下
具体的な飛行方法について、1つずつ見ていきましょう!
1.日中での飛行すること:航空法第132条の2第1号
ドローンを飛行させる際は、日中に飛行させる必要があります。夕陽を撮影していて、日没時刻が過ぎてしまうと法律違反になってしまうため、注意が必要です。
「夜景を撮影したい!」などの夜間飛行を行いたい場合、国土交通省の許可が必要になります。
2.目視の範囲内で飛行すること:航空法第132条の2第2号
ドローンを飛行する際は、目視できる範囲内で行う必要があります。障害物や物陰で隠れて見えなくなる場所でのドローンの飛行は禁止されています。
もし、ドローンを目視外で飛行させたい場合、国土交通省の許可が必要になります。
3.第三者や建物、車両などの物件との間に距離30mを保って飛行させること:航空法第132条の2第3号
ドローンを飛行させる際は、人やモノとの距離を確保して飛行させる必要があります。具体的には、第三者や第三者の建物、第三者の車両の30m未満に近づけてはいけません。
距離が保てない場所で飛行する場合、国土交通省の許可が必要になります。
4.催し場所で飛行させないこと:航空法第132条の2第4号
祭りなどの野外イベントなどでドローンを飛行させてはいけません。人が密集する場所のフライトは重大な事故を引き起こす可能性が高いからです。
飛ばしたい場合は国土交通省の許可が必要です。
イベント撮影を行う人や可能性がある人は許可が必須ですね。
5.危険物輸送をしないこと:航空法第132条の2第5号
ガソリンや火薬、凶器などをドローンに搭載しての飛行は禁止されています。
特別な理由がある場合、国土交通省の許可を取得しましょう。
6.物件投下をしないこと:航空法第132条の2第6号
箱や段ボールなど、ドローンから物件の投下は禁止されています。また農薬などの液体の噴霧もこれに含まれるので注意しましょう。
よほどの理由がない限り不要かと思いますが、必要な場合は国土交通省に許可をもらいましょう。
まとめ
ドローンの飛行に関して、「飛行が禁止された場所」と「飛行方法」をご理解いただけたのではないでしょうか。
最後にもう一度、許可あり・なしで飛ばせる場所と方法についてみていきましょう。
許可なしで飛行が禁止されている空域や場所
- 空港周辺
- 150m以上の上空(空域)
- 人口集中地区(DID:住宅街など)
- 国の重要な施設、外国公館、原子力事業所等の周辺
- 道路の上空
- 私有地の上空
- 条例による飛行禁止空域
- +α米軍基地の上空・周辺
許可なしで禁止されている飛行方法
- 夜間の飛行
- 人や物の距離が30m未満の近距離での飛行
- ドローンを目視で確認できない距離での目視外飛行
- イベント会場上空の飛行
- 危険物の輸送
- 物の投下
もし、これらの項目に該当する空域や場所、飛行方法でドローンを飛ばしたい場合、各機関に必ず許可を取るようにしましょう。
また、自分で判断するのではなく、少しでもわからない場所がある場合は直接聞いて確かめるのが無難です。
安全に楽しく空撮を楽しむためにも、ルールを守ってドローンの飛行を楽しんでいきましょう!
今回の記事の内容は、以下の動画でも解説させていただきましたので、参考にしていただけますと幸いです。
>>次のページでは、絶対に取得したいドローンの許可を学びましょう

国土交通省の許可をネットで取得する方法も公開中です。自分でできてお金もかかりませんので、申請する際はお役立てください。

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